2020年に現社研で博士学位を取得した王鼎さんの著書『湖北省留日学生と明治日本』(勉誠社、2024年)が、アジア教育史学会の2025年度学会賞(著述賞)を受賞しました。

『湖北省留日学生と明治日本』書影
2025年9月6日、アジア教育史学会の2025年度大会が山口大学で開催され、授賞式では、アジア教育史学会長である高田幸男教授(明治大学)により、王鼎さんに賞状が授与されました。

王鼎さん(左)と高田幸男会長(右)
アジア教育史学会は、アジア教育史に関する研究と国際的な学術交流を推進することを目的として1992年に設立された国際学術組織であり、日本・中国・韓国および東南アジア各国の研究者が参加しています。
学会が設ける「学会賞」は著作賞・論文賞・奨励賞があり、教育史分野で独創的かつ重要な学術的価値を持つ研究成果を表彰するため、毎年選考が行われています。

アジア教育史学会賞(著述賞)の表彰状
*王鼎さんのコメント
このたび、名誉あるアジア教育史学会賞(著述賞)を賜り、誠に光栄に存じます。選定委員の先生方をはじめ、博士課程の指導教員、現地調査や原稿の推敲にあたり数々のご支援をくださった方々、そして出版にご尽力くださった勉誠社様に、心より御礼を申し上げます。
拙著『湖北省留日学生と明治日本』は、2020年に新潟大学大学院現代社会文化研究科に提出した博士論文をもとに、大幅に加筆・修正を施したものです。拙著では、日本に所蔵する外務省記録や機関誌、未公開の日記、フィールドワークなどに基づき、彼らが日本留学に至った経緯から留学中の生活、同郷会の雑誌・教科書の出版や翻訳活動、留学制度と留学生受け入れの実態、さらには軍事系留学生と辛亥革命の関係までを地道に分析し、留日学生史の新たな側面を明らかにしました。
また、取り上げられた事例の多くは、志を遂げることができず歴史の中に埋もれてしまった人々です。このたびの受賞を契機として、彼らの営為が幾ばくかでも脚光を浴びることを願っております。
これからも、著述賞受賞に恥じぬよう、日中両国の理解に資する研究に精進する所存であります。